コードの耳コピができないと悩んでいる人に向けてやり方を3STEPで解説します。
僕はこれまでDTMを使って100曲以上耳コピしてきました。
その中でできるようになったオリジナルのやり方なのですが、かなり参考になる自信があります。
DTMでコードの耳コピができるようになるコツ
僕自身、かつては耳コピが苦手でした。
とにかくやり方が全然分からなかったので、がむしゃらに鳴ってる音を細かく聞き取ろうとしていたんです。
コードの耳コピができないという人の多くは恐らくコードというものの仕組みを知らないからでは?と思っています。
コードについて理解を深めるようになってから、一気に耳コピの苦手意識が無くなったんですね。
それでは本題へ。実際に自分で耳コピしながら解説していきます。
曲はスピッツの「空も飛べるはず」でいきますね。イントロ8小節をコピーしていくことにします。僕のやり方を見本にしてみてください。
STEP1:曲のキーを判別する
まず、耳コピしたい曲のキーを明らかにしておきましょう。
事前にキーが分かると耳コピしやすいです。なぜなら曲中で使われるコードの大半はそのキーのダイアトニックコード(後述)が占めているからです。
ちなみに今回の課題曲である空も飛べるはずのキーはCメジャーキーなります。
キーが分かれば次のステップへどうぞ。
STEP2:ベースの頭を耳コピする
次はベースの耳コピ。
コードというのはベースのルート音がもとになっています。例えばルートがCの場合、コードはCメジャーかCマイナーということになります。
ベースライン全部をコピーしなくてもいいので、コードの頭の音が聞き取れればOK。だいたい小節の頭にきてることが多いですね。
そして頭のベース音はそのままコードのルート音になっていることが多いです。
できたら、次はいよいよコードを耳コピしていきます。
STEP3:コード(3和音)の耳コピ
ここまで来ると、あとはダイアトニックコードが分かればもう簡単です。
コードの耳コピはベース音をもとにそのキーのダイアトニックコードと照らし合わせるだけでできます。
曲の分析をしていくと分かるのですが、コード進行の約8~9割はダイアトニックコードでできています。
空も飛べるはずはCメジャーキーでしたよね。なのでCメジャーキーのダイアトニックコードを見てみましょう。
Ⅰm | Ⅱm♭5 | ♭Ⅲ | Ⅳm | Ⅴm | ♭Ⅵ | ♭Ⅶ | |
Cキー | C | Dm | Em | F | G | Am | Bm♭5 |
D♭キー | D♭ | E♭m | Fm | G♭ | A♭ | B♭m | Cm♭5 |
Dキー | D | Em | F#m | G | A | Bm | C#m♭5 |
E♭キー | E♭ | Fm | Gm | A♭ | B♭ | Cm | Dm♭5 |
Eキー | E | F#m | G#m | A | B | C#m | D#m♭5 |
Fキー | F | Gm | Am | B♭ | C | Dm | Em♭5 |
G♭キー | G♭ | A♭m | B♭m | B | D♭ | E♭m | Fm♭5 |
Gキー | G | Am | Bm | C | D | Em | F#m♭5 |
A♭キー | A♭ | B♭m | Cm | D♭ | E♭ | Fm | Gm♭5 |
Aキー | A | Bm | C#m | D | E | F#m | G#m♭5 |
B♭キー | B♭ | Cm | Dm | E♭ | F | Gm | Am♭5 |
Bキー | B | C#m | D#m | E | F# | G#m | A#m♭5 |
先ほどのベースラインが「C→G→A→C→G→A→C→G→A→F→G」となっているので
コードは「C→G→Am→C→G→Am→C→G→Am→F→G」になります。これでできました。当てはめるだけです。
とりあえずコードの基本である3和音が分かればOK!
もちろんセブンスなどのテンションがついていたり、ダイアトニックではないコードが使われていたり、転調していたりと、コード進行にはもちろんいろんなケースがあるのですがそれは後で解説します。
基本的なコードの耳コピに関してはこれで完成です。ある程度音楽理論を知っていて、コツが分かると意外と簡単です。
最後はコード譜のサイトで答え合わせ
最後まで耳コピできたら、ネット上のコード譜で合っているかどうかチェックしてみましょう。歌モノなら参考にできます。
コード掲載サイトは他にもいろいろありますが、「U-FRET」が一番正確で信頼できる気がします。
僕も耳コピしたら最後にチェックしているサイトです。
複雑なコードを耳コピするためのコツ
特殊なコードについて
コードというのはメジャーコードやマイナーコード以外にも色んな種類があります。
・sus4
・sus2
・dim(ディミニッシュ)
・aug(オーギュメント)
・m7♭5
このようなコードも頻繁に出てくるので覚えておいた方がいいです。
大事なのは「どんな響きがするのか」を知っておくこと。
僕ならsus4は焦らされてる、dimは不安定、augは不気味に聴こえますね。
感覚とセットでコードを覚えると、曲中でこういったコードが出てきたときに「これはsus4っぽいな」という風に分かるようになります。
ダイアトニックではないコードが出てきた場合
そのキーにはないコードが出てくる場合は、
・ノンダイアトニックコードが使われている
・そもそも転調している
だいたいこのパターンです。特にノンダイアトニックコードはあらゆる曲で頻出します。
ノンダイアトニックコードについて詳しくは割愛しますが、他のキーのコードが一時的に使われた場合、それをノンダイアトニックコードと呼ぶことが多いです。
使われ方は色んなパターンがあって全部説明しきれないですが分かりやすい例をこの曲で少し解説します。イントロの最後のコードに注目して聴いてみてください。
この曲はB♭mキーですが、最後のコードで同主調であるB♭メジャーキーのB♭のコードが使われているんです。いわゆる「借用和音」というやつです。
聴いてみてどうですか?なんだか最後で裏切られた感じがしませんか。
曲中でノンダイアトニックコードが出てきたときに、このように少し違和感を感じることができればダイアトニックコードではない可能性があります。
慣れてくるとベースの耳コピの時点で気づいたり、パッと聴いても分かるようになります。
テンションの耳コピ
「3和音でコードが分かったけど原曲と比べてなんか違う気がする…」
そういう場合、テンションがついてる可能性大。装飾音とも言われ、コードトーン以外の音です。テンションコードは3和音に比べ響きが複雑になります。
例えばC(ドミソ)にシを足すとCmaj7(ドミソシ)というコードになります。おしゃれな感じに聴こえませんか?
テンションを聞き取るコツは原曲と聞き比べながら片っ端からMIDIノートを動かして試行錯誤するのがおすすめ。
キタニタツヤの「人間みたいね」という曲で少し解説。これを読んでいるあなたも聴いて考えてみてください。冒頭4小節のコードを見ていきます。
STEP3までのやり方で耳コピしてみましたが、音源と比べて少し響きが違うことに気づきます。コードは合ってるけどやっぱりテンションがついてるんですよね。
原曲を繰り返し聞きながらノートをつけたり動かしたりして耳コピ。最終的にこうなりました。
泥臭いですが、こういうのを何度もやってると音感が鍛えられて耳コピの精度が良くなっていきますよ。テンションはよくトップノートにきていることが多いです。
音楽理論をちょっと知っていると耳コピが楽
解説中にたびたび出てきましたが、音楽理論を少しでもいいので勉強するとコードの耳コピが段違いに楽になります。コードっていうのがもう音楽理論なので。
- 最低限知っておきたい音楽理論
- ・キーとスケールの関係
・ダイアトニックコード → 超重要
・セカンダリードミナント
・借用和音
・ディミニッシュコードの使い方
これだけでも知っておけば十分です。
おわりに:完璧にできてなくてもある程度できてればOK
冒頭でも言いましたが、コードの耳コピで一音一音鳴っている音を聞き取ろうとするとどつぼにはまってしまいます。
今回紹介した3STEPでのやり方をぜひ参考にしてみてください。
コードの仕組みを理解すると、耳コピしやすくなります。
はじめはテンションまで聞き取ろうとせず3和音だけでOK。慣れてきたらテンションにも挑戦してみるのがいいです。
色々とやっていくうちに、音感が鍛えられて複雑なコードも分かるようになってきます。
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